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長野県戸隠村を訪ねる10ページから、この本は始まる。歴史、文化、習俗をまじえたルポに、旅心を誘われる。
「そばの店15軒」という記事に、さらに旅心が掻き立てられる。
蕎麦打ちの技法紹介、そば打ちのための道具選び、そば栽培日記と盛だくさんの内容が詰め込まれ、蕎麦の総合書として眺めて楽しい一冊に仕上げられている。
(2002年5月)
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そばや今昔 |
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堀田 平七郎・編 中公新書 定価:524円 1978年 |
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「並木藪蕎麦主人・堀田勝三」氏の遺稿集。
大正から昭和中期までの蕎麦屋を舞台とする昔話、といってしまえばそれまででしかない。しかし、時代にとらわれない普遍性が、この本にはある。
石炭や薪で釜の湯を沸かす時代の話であっても、「殺人的不況の中で、蕎麦屋はどう生きるべきか」というような迷いには、今日でも変わらないものがある。
掛け値なしに良い本です。
(2002年4月)
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蕎麦打ち |
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加藤 晴之・著 ちくま文庫 定価:699円 1994年 |
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この本の著者がデザインした、SONYプロフィールProというモニターテレビは、当時のTV製品の中では群を抜いて格好良かった。時代の先端でそのような製品を手掛けていたプロダクト・デザイナーが、やがて百姓生活を経て、出張蕎麦打ち人になる。
粉にされ、捏ねられてドゥになり、延されて麺線になるように、変容し続ける心の軌跡を描いた物語。
姿形がどのように変わろうとも、ソバはソバでありその如実は変わらない。この著者の生き様にも、似たものを感じる。
(2002年1月)
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麺食のすすめ |
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日本麺類業団体連合会・企画 柴田書店 定価:1,300円 2001年 |
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健康食としての蕎麦・うどんをまっとうに論じた本。
機能性成分に関する最新の研究成果など、栄養面からそば・うどんに深く踏み込んだ内容になっている。
ルチンとビタミンCとの関係、「つなぎ」としての小麦粉によるアミノ酸バランスの補完など、ちょっと小難しそうなことがらでも解説は分かりやすい。
およそ30品目のそば・うどんメニューについて栄養成分を分析した第2章は圧巻。従来の説の誤りを正す場面も多く、まさに目から鱗が落ちる一冊。
(2001年12月)
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信州はそば処だというが、ほんとうにそうだろうか ---
そんな問いかけから出発して、信州のそば屋を巡る中で、あれこれの驚きに出くわす(ラーメンと蕎麦のセットメニューとか)。
そば処信州を彩る神話や伝統やら因習から距離を置き、一人の蕎麦食いとして当たり前と思うことを、当たり前のこととして語る。そんな著者の姿勢が、すがすがしい。
この本には、蕎麦に対する愛がある。 そば屋への愛があり、信州への愛がある。それなくしては、絶対に成立しなかった本。好著。
(2001年11月)
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「ニ八蕎麦」とは何であったのかという問いに、新説で挑む。
まず、ニ八=十六文説を否定する。次に、ソバ粉とつなぎの混合比率説を否定する。そこに新説を提示する。
傍証を重ねながら、じわじわと新説の外掘りを埋めて行く。豊富な傍証を積み重ねて行く過程には、ミステリー小説に似た面白さがある。ところが、後半になると新説がみごとに暴走しまくる。
追検証が待たれる。
(2001年10月)
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